学会賞・国際賞

平成20年度の学会賞の授与について

第27回日本自然災害学会学術講演会が、平成20年9月25~26日に、福岡市に於いて開催された。9月26日(金)に開かれた総会の中で、学会賞の授賞式が行われた。日本自然災害学会の学会賞として、功績賞と学術賞が設けられている。

学術賞は 加藤 尚子 氏((独)国立環境研究所)、立川 康人 氏(京都大学 准教授)に授与された。功績賞・国際賞に該当はなかった。

学術賞

受賞者
(独)国立環境研究所 加藤 尚子 氏
研究題目
昭和13年「阪神大水害」における旧本山村(現神戸市東灘区)の災害対応と復旧支援
掲載誌
自然災害科学」,Vol.26, No.3, 2007,pp. 291-305
受賞理由
 2008年7月神戸都賀川の水害は、都市や社会の変化とともに進化する神戸の水害リスクを再認識させた。当地方は70年前に阪神大水害を経験している。候補論文は1938年阪神水害の被災地が残した『本山村水禍録』に着目し旧本山村の被災状況から対応に至るまで過去の活動を分かりやすく整理し、丹念に記録にしたものである。現代における対応課題を考える上でも基礎資料となるもので、近代災害史研究としても価値がある。よって学会賞に値すると判断する。

学術賞

受賞者
京都大学 准教授 立川 康人 氏
研究題目
分布流出予測モデルによる実時間流出予測システムの開発に関する研究
掲載誌
自然災害科学」,Vol.26,No.2,2007,pp. 189-201
受賞理由
 中・小河川を含めた水系一体を対象として、実時間の広域分布型流出予測モデルを予測エンジンとする高度水防災情報提供システムを開発したもので、従来は難しかった、流域における有効で高度な洪水予測情報を得ることにつながる成果である。具体的に淀川水系を例にシステム構築を行って、その実用性を示している。よって本研究は学会賞に値すると判断する。

これまでの受賞者一覧